介護に対する考え方が異なるため基準となる「理念」が必要

「理念」の重要性について

転職の理由は人それぞれ違いますが、転職先を探す際は条件だけでなく介護施設が掲げている「理念」にも注目してみてください。理念はその施設の行動指針です。どのような点に重きを置いているのかがわかります。

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「理念」が必要な理由

なぜ介護施設では理念が重要なのか

介護施設に理念が必要な理由

施設で働いているスタッフの多くは「誰かの役に立ちたい」「利用者が快適に過ごせるように」と想いながら日々の業務に従事しています。介護士にとってそのような想いは大切ですが、想いは目に見えるものではありません。抽象的なものです。そのため、集団になるとその想いがすれ違ってしまう場合があります。
そもそも、「誰かの役に立ちたい」という想いを実現するにしても、対象となる利用者の状態は1人ひとり違います。また、スタッフの価値観や能力も異なります。例えば、入所したばかりで寂しそうにしているAさんがいるとします。その姿を見たスタッフのBさんは「家族から離れて寂しさを感じているのかもしれない。面会の回数を増やした方がいい」と考えましたが、スタッフのCさんは「家族と顔を合わせると余計に寂しくなるから早く施設に馴染めるようにレクリエーションを開催しよう」と考えていました。
どちらもAさんのことを想った行動なので間違いではありませんが、お互い介護に対する考え方や価値観が違うためこのようなすれ違いが起こってしまったのです。BさんとCさんのどちらかの想いをひとまず優先することになりますが、判断基準や正解は曖昧です。話し合いで決めることになりますが、叶わなかった方は「Aさんのことを想っての行動なのに」と何となく寂しい気持ちになってしまうでしょう。
その寂しい気持ちが積もっていくと仕事に対するモチベーションも下がってしまいます。これは介護施設だからこそ起きる現象ですが、このような現象を起こさないようにするためにも「理念」が大切になってくるのです。

「理念」を活用しよう

Aさんに対するBさんとCさんの想いのどちらが正解なのかを決めることは簡単ではありません。どちらもAさんのことを想っての行動だからです。しかし、その際に判断基準となる「ものさし」があればどちらがよりベターなのかを決めることはできます。
そのものさしとなるのが理念です。「理念に沿っているのはどちらなのか」とすることでお互いの意見を尊重しながら取るべき行動を決めることができます。理念が全スタッフに共有されていればその施設に合った想いをお互いに持つことができるので、意見がすれ違うことも少なくなるでしょう。
もし「利用者とその家族が安心できる介護を」という理念があった場合、今回は家族との面会を考えたBさんの方がよりベターな考え方となります。ものさしとなる理念がなければお互いに意見をぶつけ合い、2人の関係が悪化していたかもしれません。しかし、理念があることで「どちらの意見も正しいけれど、施設の理念に合わせるならBさんの方が合っているかもしれない」と判断がしやくなり、余計な衝突も避けられるのです。

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